難病団体「要望書2016」
平成28年度「障がいのある人もない人も共に生きる熊本づくり条例」改定版へ難病の表記が加わることになり、念願であった長年の運動を実現できました。これによって、三障害のみならず、難病を含む心身機能に障害がある方の社会参加や生活の質を高める機会につながるものと期待をしています。定着に向けた更なる推進をお願いいたします。
また、熊本地震では、難病患者を含む要援護者への支援も行われましたが、多くの場合、保健所や福祉課で把握されていた方に限られました。そもそも差別や偏見を恐れて事実を隠して地域で暮らす家族も少なくなく、殊に小児慢性疾患を患う子どもさんの居るご家庭や青年期の当事者・家族には多く見られる傾向です。病気を隠して生きることは公的サービスを受けないという選択肢ではなく、後々のリスクを恐れてのことであり、病気の事実を公表しても排除されない社会の実現こそが我々の目標なのです。
よって今年度の要望事項は、下記のとおりです。
記
1 熊本地震被災者の中には、難病患者が少なからず含まれます。公営住居・仮設住宅・福祉避難所への住み代え等で、医療機関への通院が断ち切れないように重要な点として加味して頂きますようお願いいたします。また、震災は特別な出来事であり、今回の事例を参考に難病患者向けマニュアルの策定も合わせてお願いいたします。
2 ヘルプマーク(東京都福祉健康局)は、外見から分からない「見えない障害者」にとって合理的配慮を求める際の意思表示に効果的です。難病のみならず発達障害者や高次脳機能障害者においても有効で、東京都、京都府、福岡県、愛媛県等での実施や大分でも導入が検討されています。早期導入をお願いいたします。
3 平成28年5月25日に成立した改正障害者総合支援法では、介護サービスと生活支援サービスの複合的な利用や入院生活上でのヘルパー利用など、生活の改善につながるものが多く見られます。患者・家族並び医療機関に対して十分な周知をお願いいたします。また、熊本市ホームページに関し、難病対策及び福祉サービスがワンストップで確認できるように改善して頂きますよう併せてお願いいたします。
4 平成30年から難病対策事務が熊本市へ移管されます。当事者に混乱が生じないよう万全の体制の構築をお願いいたします。また、難病対策地域協議会へは、当団体加盟患者会から委員選出を併せてお願いいたします。
平成28年5月28日
熊本市長 大西一史 様
熊本難病・疾病団体協議会
代表幹事 中山泰男 |