第12回総会と要望書提出のお知らせ

 平成26年5月22日15時、5月10日に開催した熊本難病・疾病団体協議会第12回総会において承認された「代表挨拶2014」「大会宣言2014」「要望書2014」の三点セットを提出してまいりました。対応は健康づくり推進課の下村課長さんです。今後の特定疾患更新事業や難病新法について意見交換を行いました。

第12回 熊本難病・疾病団体協議会 総会
熊本県庁にて三点セット提出しました。
代表挨拶2014

 私たちや家族は、生まれながらにして、あるいは、ある日突然にして、原因不明で治療法のない病気を宣告されました。刻々と進行する病状やいつ重症化するか分からない恐れを抱きつつ、日常生活においては、断続的あるいは周期的に生じる症状や通院のための制限によって一般社会の中で生き辛い状況に置かれています。なかには見た目に判らない人も多く、「疼痛」「疲労感」「具合が優れない」等の状態を証明することは困難であり、誤解や偏見を恐れ、病気を隠して暮らしています。

 2011年の障害者基本法改正によって、これらの状態にある人を「障がいのある人」と位置づけられ、日本も国際社会に並びました。しかし、多くの方は障害年金支給の対象外であり、働かなければ生きることができません。働き続けられる環境はとても重要なのです。難病は個人の責任による罪ではない筈です。国民の誰にでも起こりうる災難だとするならば、社会全体で支える施策への転換が必要と考えます。

 また、難病特有の障害は、突然に、或いは、不定期に生じることから、障害者総合支援法上の福祉サービスは元気な時期に認定されることを認めています。しかし、その判断は市町村に委ねられ必ずしも浸透しているとは言えません。加えて、医師の意見書のウェートは大きく、記入に際して意思疎通はとても重要です。殊に進行性の患者に対しては、自助具や補助具の早期導入が必要で、意思伝達装置などでは支給決定がおりたころには使えない状態に進行している場合があるからです。使いこなせるまでの習得期間を含めることが求められます。

 さて、2015年には難病新法が施行されますが、難病施策と障害施策は別物ではありません。どちらかと言えば、国の法律の柱である障害者施策に医療的特性のある方々が合流したものであり、国策で難病対策が義務的経費となって社会保障費に組み込まれたものだと考えます。その意味においては、難病施策と障害施策の窓口の一本化、自治体が省令で定める審議会や委員会への当事者参加も強く求めるところです。

 最後に一つ。難病等の場合、会員ご自身が生活困窮にあって、会費を主たる財源とする運営にあっては、社会貢献をしたくともできないという声が大勢です。来たる難病新法300疾患、小児難病600疾患を念頭に、支援組織を支援する体制づくりが望まれます。我々がナショナルセンターとして活躍できる支援の創設を願うものです。
当事者や家族がここで生まれてよかった、住んで良かったと思える街づくりのため、自治体と共同しながらこれから誠意努力を続けてまいります。


平成26510
熊本県宇土市網津町1418-4
熊本難病・疾病団体協議会
代表幹事 中山泰男



大会宣言2014
1 私たちは、障がいのある人もない人も共に暮らせる社会を求めます。

2 私たちは、自立した生活を得るために働ける環境を求めます。

3 私たちは、自立した生活を得るために自助具や補助具の早期利用、また、公共交通機関の低床化の促進を求めます。

4 障がい施策と医療施策の一体的な窓口の運用を求めます。

5 公助、共助、互助、自助において、当事者団体及び家族会は有効な互助組織です。難病の指定枠に拘らず、あらゆる疾病・障がい者団体と共に社会に貢献します。

平成26年5月10日   
熊本難病・疾病団体協議会
代表幹事 中山泰男


平成26年5月22日
熊本県知事 蒲島郁夫 様
熊本難病・疾病団体協議会
代表幹事 中山泰男

「要 望 書 2014」

 新たな難病対策となる「難病の患者に対する医療等に関する法律」の公布にあたり、努力義務規定とされた事項に関して、万全を期して臨まれるよう要望いたします。
(1) 難病に関する情報の収集、整理及び提供並びに教育活動、広報活動等を通じた難病に関する正しい知識の普及を積極的に図ってください。
(2) 難病患者に対する医療人材の養成及び資質の向上、良質な医療の提供体制の構築を図ってください。
(3)国が提示する難病対策補助事業は全て取り入れてください。殊に難病相談・支援センターがより充実するための予算措置や他機関との連携強化を図ってください。
(4)保健所ごとに設置される「難病対策地域協議会」には、管轄地域の難病患者・家族団体(難病友の会等)から委員を選任してください。また、これに平行して行政職員の業務分掌に難病患者団体の運営支援を柱の一つとして明記してください。

 障害者基本法に定める「地方障害者施策推進協議会」及び障害者総合支援法に定める「協議会(自立支援協議会)」には、当事者委員の「その他の障害者」枠に難病当事者を正式に任用し、障害者手帳を持たない障害者として意見が述べられる機会を設けて下さい。地方自治体が策定する計画へ意見が反映されることが重要と考えます。

 難病者の障害者支援区分の認定に際しては、症状が変化(重くなったり軽くなったり)する特徴を踏まえ、軽快した期間中に丁寧に聞き取った「症状がより重篤な状態」=「障害支援区分の認定が必要な状態」として認定審査の留意点を示しています。県においては、特定疾患更新時に利用の啓発と障害者認定に関する関係機関の情報を提供すると共に、市町村所管課にも同様の周知を図り、医療と福祉の横断的な取り組みを促進してください。

 当事者が当事者を支える仕組みはとても重要です。セルフケアサポートグループの支援を政策に明示し、熊本難病・疾病団体協議会が地域の資源として活躍できるよう財政的支援を行ってください。特に次の事業は大切だと考えています。
(1) 拡大する難病毎のセルフヘルプグループ設立支援及び運営サポート。
(2) 難病患者及び家族並びに一般社会に向けた啓発活動。
(3) 「難病対策地域協議会」へ参加する難病患者委員連絡会議(仮称)の運営。
勉強の機会を設け、法律や条例を理解できる当事者専門家の育成。
(4)2月末日の「世界希少・難治性疾患の日」の開催。
(5) 難病・疾病団体のナショナルセンターとしての機能の充実化。殊に意見の取りまとめや意見調整、行政との情報共有の窓口機能など。